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抽出を考える。

公開日:2020年11月21日更新日:2021月03月21日
カテゴリ:抽出のはなし。

先日、講習を受けたコーヒーインストラクターの資格取得のための講習会で、抽出を科学的に分析をして説明をしてくれました。

ですので、その科学的な分析と当店の考える「抽出の論理的な考え方」を合わせて、説明をしたいと思います。
まず、科学的な説明として、コーヒーの粉の一粒ずつの成分の溶け出し方を説明してくれました。

<抽出の科学的な説明>
*濃度の濃いところから、濃度の薄い方へと動く性質を使って抽出がなされている。

その場合に、
1・細かく挽くと速く成分は溶け出す。
2・温度を上げると成分は速く溶け出す。
3・時間。(抽出時間。)

そして、時間と成分の溶け出す関係では、
*酸味は速く溶け出す。(酸味の分子量が小さい。)
*苦味は溶け出しにくい。(苦味の分子量は大きい。)

それらのことを考慮しながら、1、2、3の要素をどう設定を変えるのか?で、味づくりはなされます。

そして、単純に頭の中だけで美味しい抽出を考えた場合、重たい成分を抽出させないようにする、一般的に考える抽出理論が誕生します。

1・粗く挽く。(多めのコーヒー豆で抽出をする。)
2・温度を低くして、重たい成分を出さないようにする。
3・抽出時間を速めにして、重たい成分を少なくする。

と考えるようになります。

ですが、その考え方には、そもそもの間違いがあります。
それは、一般的なコモディティコーヒーの場合には、上記の理論が成り立つのですが、良質なスペシャルティコーヒーの場合とでは、その抽出理論が当てはまらなくなります。

それは、重たい成分(苦味や渋み)にも「質」があると言うことです。
そして、雑味と言われる部分にも「質」がありますので、それを考慮して、スペシャルティコーヒーの場合の抽出を考える必要性があるのです。

すると、どうしても抽出で加えたい条件が浮上します。
それは、
「できるだけ高温で抽出をしたい。」と言う考え方です。

平地の沸点の100°Cで、抽出をしたいのです。
その理由は、『香りの成分が豊かに登場するから。』なのです。

ただし、それには条件が必要になります。100°Cで抽出すると言うことは、いろんな香りの成分が豊に登場しますので、その条件は、

*素材に、劣る香りが無いこと。
*ローストのフレーバーに劣る香りが無いこと。

この2点の条件を満たしている場合に限り、沸点の100°Cで抽出することで、良質な香りの成分が豊かに登場する抽出ができると考えられるのです。

その場合に、「仕入れの目利きがきちんとできること。」と、「焙煎で極力ダメージを与えないように、それでいて素材のポテンシャルを引き出す焙煎技術があること。」と言う、2つの技術力が不可欠であることで100°Cの抽出が可能になると言うことです。

抽出の設定は論理的に考えた場合に、本当に良質なコーヒーならば、100°Cで抽出をした方が「香りがより豊に登場する」ので、まずは100°Cで抽出を考えることから取り組んでみるという考え方になります。

ただし、そうした場合のデメリットを排除していかない限り、美味しくはなりませんので、技術力を上げる必要があることが理解できます。

このように、抽出の考え方には、「劣る部分をごまかし美味しくする」と言う考え方と、「劣る部分をそもそも登場させないような仕入れと焙煎をすることで、素材のポテンシャルを十二分に引き出す」と言う方法があるのだと考えられます。

どちらも原点の考え方は同じ「美味しく抽出する」なのですが、使う素材や、焙煎技術によっては、論理的な抽出方法が変わると言うことです。

香茶屋のコーヒー豆を使用した場合にも、クオリティのレベルによって100°Cで抽出をするか、95°Cくらいにまでお湯の温度を下げるのかを判断すれば良いのだと思います。

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