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対義語から考える。
公開日:2024年7月28日更新日:2024月07月28日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
昨日書いた「ダークローストを考え直す」というローストの考え方の逆の意味に位置する考え方が、「素材が見える美しいロースト」という意味でもあるので、それを書くことにした。
イメージではあるのだけれど、ボクは日本画の技法と、コーヒー焙煎における表現の技法はとても似ているものであると思っている。
だから、美術館に足を運び、日本画でボクが美しいと思える作品の技法をローストで真似することで、美しいロースト表現をしたいと考えているためである。
似ているところとは、失敗が許されないところであり、すべてがさらけ出されてしまうところでもあり、それは生地と下地からの重なりすべてが登場してしまうところでもある。
ローストにおけるイメージとは、背景に素材の良質な状態の酸味を配置をし、その上にローストの色の重なりで厚みを登場させていくことである。
そのため美しさを表現する場合では、背景にしっかりと良質な状態の酸味を配置することが重要であり、次にローストの色の重なりで「濁らないように」「くすまないように」透明度のある状態のローストの色の重なりを、どのように配置をするのかである。
そのための取り組みでは、「良質な状態の酸味」を理解しなければならないことであり、「良質な状態のローストの色の重なり」を理解しなければならないことでもある。
その両者をフレーバーという情景に同時に美しく推移するように配置をすることがローストである。
そして、ダークローストの場合では、背景が感じられないような状態になってしまうのだが、絵で塗りつぶすような漆黒な状態であったとしても、そこに「光が届かない漆黒」を表現したい場合では、ロジックとその技法は違ってくるように思うのだ。
新しく取り組むこととは、今までそのような考え方で取り組んだことがないからこそ新しいことなのだ。
なので、ダークローストにおいて「光が届かない透明度の高い層の厚み」という美しい漆黒をイメージしてその状態を表現することなのだと思う。
今まで光が届かない表現はしてきたことがないので、そこに難しさがあることを感じている。