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良質さの視点を伝えていく。

公開日:2022年6月18日更新日:2022月06月18日
カテゴリ:良質さのお話。

良質さの視点を伝えていく。

ボクはよく言っていることなのですが、テイスティングを学んでいくことで、香りの情報が伝えてくれている「香りの元をたどる能力が身に付いてくる」。

それはどういうことなのかと言うと、脳内にインプットされた香りの情報をカテゴリにも括って記憶することができるようになることで、それらの香りの情報が「どこから登場したものであるのか?」が脳が認識できるようになる。

コーヒーの場合ならば、素材のコーヒー生豆から登場したものなのか、それともローストにより登場したものであるのか、抽出により登場したものであるのか、と言う具合に、そのフレーバーの香りの情報や味覚的な情報や触覚的な情報が「どこから登場してきたものなのか?」を不思議なことなのですが、理解ができるようになると言う能力なのです。

もちろん焙煎士でもあるボクは、その能力を使ってローストによる味づくりのバランスを取っている。
何が不足しているのか?また、何が余分なのか?それらを感じ取り、それがローストのどこの設定なのかを探り、そしてその設定を修正し、理想のバランスを探っていくために、その能力を日々使っている。
細かく言うと、素材由来の香りの情報には、生産者が取り組む「生産処理」由来の香りの情報と土壌や地形などの環境を含めた生産地から登場する香り(ワインだと”テロワール”とか言われますが、コーヒーだと”マイクロクライメット”と呼ばれています)の情報などがある。
抽出の情報は、どのようなお水を使ったことで登場するフレーバーか、どのような性能のミルで挽いたことで登場するフレーバーなのか、どのような抽出器具を使ったことで登場するフレーバーであるのかと言う情報です。
カップの中のコーヒーの液体から登場しているフレーバーの情報には、実にさまざまな香りの情報が詰まっていて、それらの香りの情報の由来を脳が認識できるようになることで、いろいろと取り組むことができるようになると言う能力でもあるのです。

ですが、これは今までの経験で身に付いたスキルであって、元々備わっていたスキルではなかった。
では、このスキルが身に付くことで、どのようなメリットがあるのか?
それは、作り手の想いまでもがなんとなく感じられるようになる。
すると、手を抜いている作り手も見えるし、そして何よりも素晴らしい作り手の繊細な味づくりが感じられるようになる。

素晴らしい作り手は、世の中にほとんど存在していないことにも気がつけるので、すると素晴らしい商品と出会った時に、瞬時にそれが理解できるようになり、通り過ぎてしまうことがなくなる。

でも、多くの人たちは、トレーニングをする以前のボクと同じように、好みで判断しているだけなので、素晴らしいものと出会っても好みでない限り通り過ぎてしまうのです。
皆、素晴らしいものくらいはわかると思うかもしれませんが、テレビ番組の「芸能人の格付けチェック」という番組を見たことがある人たちならば、良質さや素晴らしさは学ばなければ感じられるようにはならないことがわかってもらえることだと思います。

ただし、その能力を学びたいと思う人たちはとても少ない。
せめて料理に携わる人たちだけでも、実は嗅覚が大切だと気づき、それらの能力を身につけることで、良質な料理に取り組んでもらいたいと思うのですが、食は「味覚」だと思い込んでいる人たちが多いこの世界では、なかなか本質を見つめることができないのだとも思っています。

時代が進み、嗅覚こそが大切なのだと人々が言える時代になってもらえると嬉しいのですけど。
せめて、現時点でそこに気づいている人たちに向けて、良質さの視点を伝えていきたいとは考えています。

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