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コーヒー豆はメジャーカップで計量する。という考え方。

公開日:2021年3月20日更新日:2022月01月11日
カテゴリ:抽出のはなし。

日頃から当店では抽出時のコーヒーを計量する際に「メジャーカップ(計量カップ)」を使用してくださいと伝えているその理由をきちんと説明したいと考えています。

意外とコーヒーを学んでいる人たちの中にも「スケール(計量器)」を利用してコーヒー豆を計量する人が多く、なぜ当店がスケールを使わない方がいいのか?をきちんと説明したいと思ったからです。

まず、当店のコーヒーカップは200mlくらい入るコーヒーカップを使用しているので、出来上がりの液体はだいたい160mlとなります。

お客さまには「国際的なコーヒー豆の使用量が150mlで8g」だと伝えております。
しかし、この「150mlで8g」がすでに曲者なのです。
どのようなローストレベル(焙煎度合い)のコーヒー豆を基準にして「150mlで8g」なのかということが問題なのです。
それは、ローストレベルや焙煎時間によって、焙煎後のコーヒー豆の重さが変わるためです。

ですので実際に普段から使っているのと同じメジャーカップを使って、すり切り1杯のコーヒー豆の重さを計って検証をしてみたいと思います。
(*カリタの10gのメジャーカップで、いつもとおりすり切り1杯。)

今回、実際に計量に使う豆は当店でローストしたコーヒー豆3種類。
ロースト度合いの異なる豆3種類です。

・ライトロースト(浅煎り) 当店の煎り止め温度:194度
*エチオイピア・イルガチェフェ・コンガ

・ミディアムロースト(中煎り) 当店の煎り止め温度:201度
*ペルー・エルセドロ農園

・フルシティロースト(深煎り) 当店の煎り止め温度:218度
*ブラジル・オウロヴェルデ農園

上記の3種類のコーヒー豆を使って検証していきます。

まず、・ライトローストの「エチオイピア・イルガチェフェ・コンガ」を、カリタの10gメジャーカップすり切り1杯。
「12.9g」

次に、・ミディアムローストの「ペルー・エルセドロ農園」を、同じメジャーカップすり切り1杯。
「11.4g」

次に、・フルシティローストの「ブラジル・オウロヴェルデ農園」を、同じメジャーカップすり切り1杯。
「10.6g」

この検証でもうお気づきだと思いますが、計量カップで、すり切り1杯で軽量して「容積」は同じはずなのに、重さが異なります。

ライトロースト(浅煎り)の「エチオイピア」は、「12.9g」。
ミディアムロースト(中煎り)の「ペルー」は、「11.4g」。
フルシティロースト(深煎り)の「ブラジル」は、「10.6g」。

ライトローストとミディアムローストの差は、「1.5g」。
ミディアムローストとフルシティローストの差は、「0.8g」。
ライトローストとフルシティローストの差は、なんと「2.3g」。

下の画像で、ライトロースト(浅煎り)の「エチオイピア」を3g計量した画像があります。

その画像のコーヒー豆つぶを数えてみると「22粒」ありました。
ライトローストの比較的水分値が多いコーヒー豆でも、1g換算にすると「1g=7粒」程度。

「2.3g」の違いは、16粒くらいの違いになってしまいます。
その違いは、濃度の違いとなるわけです。

スケールで「10g」で計量したとすると、必ずローストが深煎りの方が容積が増えるため濃くなってしまいます。
それは、焙煎が深いとコーヒー豆の水分値が減るので、重さは軽くなるためです。

その濃くなってしまうコーヒーの濃度のバランスをとるために、コーヒーミルの設定を変更させなくてはいけなくなります。
深煎りの場合は「粗く挽く」、そして浅煎りの場合は「細く挽く」ことをしなくては、好みの濃度に仕上がることができませんので、ローストレベルごとにミルの設定を変更しなければならなくなってしまいます。

そのような抽出にしてしまうことで、抽出の濃度やバランスは不安定になってしまいます。
スケールで計量してしまうだけで、毎回濃度は安定しなくなってしまい、そして抽出を難しくしてしまっています。

香茶屋が考える基本的な抽出の考え方は、150mlで8gを基準にして、メジャーカップで計量の基準を合わせます。
(当店の浸け置き式での、レシピはカリタ10gのメジャーカップすり切り1杯で210mlのお湯で抽出しています。)
そのレシピを基準にして、コーヒーミルの挽き目(メッシュ)の調節を行いピンポイントのミルの設定をおこないます。すると、毎回同じメジャーカップにて計量で容積を同じにするだけで、濃度は安定してきます。
ですので、そのレシピを使った場合のコーヒーミルの調整がとても重要になります。
(※ちなみにコーヒーミルのピンポイントの設定ポイントは、感情に訴えかける情緒的な味わいが登場するポイントを見つけることです。)

すると、どのローストレベルのコーヒー豆を使ったとしても、成分と濃度は安定して登場するようになります。
この時に、成分のバランスが崩れている場合は、「焙煎での味づくりのバランスがズレている」ことが理解できます。

基本コーヒーミルの設定は「成分のバランス」を整えることだと認識をしています。
豆の量は「濃度」だと考えていますので、コーヒーミルの設定で濃度をコントロールすると「成分のバランス」が崩れてしまいます。

コーヒーミルの調節方法は、冒頭でも述べた「150mlで8g」を基準にする場合は、メリタのメジャーカップが8gのメジャーカップですので、そのメジャーカップを使い、150mlの熱湯を使用した場合に、成分のバランスが良いところという挽き目を探します。
(※カリタの10gのメジャーカップを使用する場合は、210mlのお湯を使用しています。)
ですので、実際にレシピとおりに抽出をして、一番バランスの良い味わいになるミルの挽き具合を探すことが「ミルの設定」となります。
そのポイントが見つかれば、あとはどのようなコーヒー豆を使う場合も、毎回同じメジャーカップで計量して、毎回同じ挽き目で挽いて、毎回同じ温度の熱湯で抽出するだけで、味づくりは安定してきます。

一般家庭で、シンプルで美味しいコーヒーを安定して飲みたい場合は、スケールを使うのではなく、いつも決まったメジャーカップを使い、感覚で目分量で計量した方が味わいは安定するものであると香茶屋では考えています。
目で見たコーヒー豆粒の多い少ないも、2〜3粒単位でその違いを見抜けるものです。

ただしこのロジックには条件があり、コーヒーミルが毎回安定して同じ粗さで挽けることが前提となります。
これに当てまらないコーヒーミルを使用している場合には、濃度や味わいは安定しませんので、ご了承ください。

そして、正しいコーヒーミルを使うことで、良質な成分がきちんと登場することとなります。
ですので、コーヒーミル選びがとても重要になります。

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