香茶屋
MENU

読み物。

Blog

お問い合わせの返答を。

公開日:2022年4月10日更新日:2022月04月10日
カテゴリ:お店のこと。, 論理的な考え方

【 タイトル 】 コーヒフィルターについて
【 内容 】
こんにちは、初めまして。コーヒフィルターについて教えてください。
フレンチプレスから始まり、最近クレバードリッパーを購入しました。
アバカフィルターで淹れたコーヒーはオイルが入ると聞いた事が有るのですがどうですか?
また不織布の103フィルターは無いと思うのですが不織布フィルターで淹れたコーヒーは気になるのですがどうでしょうか?宜しくお願いします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当店に、お問い合わせが届きました。
「コーヒーフィルターについて」という題名がついていました。

ボクがスペシャルティコーヒーに携わるようになって、20年が経ちますが、率直な結論から言わせていただきますと、美味しさは感覚とリンクをしていますので、どこまで感覚として感じ取れているのか?で、使用する道具選びは変わってしまいます。

ボクは「アバカフィルター」を使ったことがありませんので、憶測でしか話せませんが、食物繊維を編み込んだフィルターの場合だと、目が細かすぎて「質感の良さが得られない」ことと、オイル分も吸い取られほとんど抽出されないのでは?と考えています。しかし、使ったことがないので、あくまで憶測に過ぎませんので、実際に同じコーヒー豆を使用し比べてもらえばフィルターの違いによる変化を感じられることだと思います。

あと、そのフィルターをドリップとして使用するのか?浸漬式で、濾過だけの目的で使用するのか?で登場する抽出液の成分量が変わりますので、そこは「どのようなコーヒー豆を使うのか?」で、抽出法は決める必要があると考えています。

コモディティコーヒーなどの、素材のダメージがある豆とローストのダメージがある場合は、ドリップ式が向いていて、当店のように良質なスペシャルティコーヒーとダメージの無いローストを施した場合のコーヒー豆では、浸漬式が向いていると香茶屋では考えています。
その辺りのことは、抽出時間を考えていただければ成分量がより多く登場する抽出法が浸漬式ですので、理解できることだと思います。ダメージの登場しているコーヒー豆で成分量を多くしてしまうと、ダメージも多く抽出してしまいますので、向いておりません。

フィルター(抽出法)選びは、どのようなコーヒー豆を使用するのか?で決めるべきです。

そして、このご質問の中に登場する「オイル分」のご説明から。
1・スペシャルティコーヒーの場合は、なぜオイル分を抽出した方が良いのか?
2・どのくらいのオイル分を抽出した方が良いのか?

1)植物の香り成分は、水に溶けない香りがほとんどだと言われています。そして、水に溶けない香り成分の多くは、油に溶ける性質があると言われていますので、コーヒーの香り成分もオイル分に多く含まれていると理解できます。
しかし、コモディティコーヒーの場合では、雑味があるので、その雑味のフレーバーもオイル分に含まれてしまうため、コモディティコーヒーの場合は、ペーパーフィルター類でオイル分を取り除いた方が雑味が軽減されて、美味しく召し上がることができると理解ができます。
しかし、スペシャルティコーヒーの場合では、嫌な雑味がないこと、そしてフルーツの酸味やフルーツのフレーバーが素材のポテンシャルとして登場するため、オイル分まで抽出した方が美味しくなるという論理となります。

2)テイスティング的に、オイルの量のもたらす違いは、「質感のちがい」が大きく変化します。
オイル量が少ないと質感の良さが軽減してしまいます。
しかし、フィルターの目が粗いとオイル量も多くなりますが、液体の中に微粉も多く濾過されてしまい、その微粉によって液体のザラつきを感じてしまい、せっかくの液体の質感が楽しめなくなってしまいます。
そこで、フィルターの役割としては、「オイル分を通し質感の良さを楽しめる」ことと「触感を悪くする微粉までは通さないこと」の2つの要素が大きと考えています。
ほとんどのフィルターは、その2つの要素のどちらか1つしか得られないので、当店の場合ではそれを解決する方法として、浸漬式で浸け込んだ後に、開発した「不織布フィルター」で上澄みの液体だけを濾過するという手法を用います。
同じ不織布フィルターを「ドリップ式」で使用したりすると、抽出時間が短かすぎて成分量がきちんと抽出されませんので、浸漬式で使用することを目的とした不織布フィルターとなります。

ちなみにこの浸漬式の抽出は、「コーヒープレス(フレンチプレス)」と論理は同じです。
4分間浸け込んで、最後にその不織布フィルターで上澄みの液体だけを濾過するという目的で使用します。

あと、昨年末に取得した「コーヒーインストラクター1級」の中で学んだ、「コーヒーを美味しく淹れるために。」という項目の中でも学びましたが、「ミルを選ぶ」ことは、コーヒーを美味しく淹れるためにはとても重要な要素です。
意外とミル選びを軽んじて考えられがちなのですが、とても大きく味の変化をもたらす要素です。

あと、「抽出の原理を理解する。」という項目も重要で、6項目からなっていました。
1)どんなコーヒーを使うか。(生豆、焙煎などの要因を含む)
2)どんな水を使うか。
3)湯の温度。
4)粉の挽き具合。
5)湯と粉の接触時間。
6)湯と粉の比率。

それらを理解すると、抽出の論理が理解できてきますので、1)どのようなコーヒー豆を使うのか。が出発点となり、2)以下の要素が変わってくるものであることが理解できてくると思います。

当店のコーヒー豆を使用する場合に限り、100℃の熱湯で浸漬式で4分+10秒。その後に、不織布フィルターで上澄みの液体を濾過する目的で使用することが理想の抽出だと現時点では考えています。

学ぶ。

Online Seminar

香茶屋では、店主である私が歩んできた道を分析し、感覚が成長していく歩み方を伝えてゆくことで、正しいロジックのもとで各講座の「学ぶ。」が運営されています。

オンラインセミナーの詳細へ

読み物。

Blog

© kaori-chaya