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境界線。

公開日:2022年6月4日更新日:2022月06月04日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。

境界線。

これは、ローストのはなし。

現在、ドリップバッグに使用するコーヒー豆をローストしている。
同じ豆を複数回も同じ日にローストすることはないので、こういうときにそのコーヒー豆の設定を見つめ直す。

ここ最近は、気温の上昇から、コーヒー豆に与えられる熱量が変化してきてしまっているので、微妙に設定がずれてきていた。
種子由来の植物系のフレーバーが多めに登場してしまってきていた。
それを、この機会に修正しようと考えていて、どうしたらその「種子由来の植物系のフレーバーが抑えられるのか」を考えて、そして微調整をした。

以前より、だいたい1°Cの釜内の温度が上昇するのに5〜6秒かかるのでその半分の3秒単位で設定を調整するようにしていた。
しかし、ここ最近の取り組みでは、3秒は大き過ぎるという判断となり、1秒刻みの設定に変更するようになった。
それは「境界線」をドンピシャのところに持ってゆきたいから。

境界線とは、透明感の成り立ちの領域と、そうはならない領域とを区別するためのもの。
当店の焙煎機では、その透明感の境界線の領域がたぶん1〜2秒の幅しか存在しない焙煎機なんだと思っている。
だからこそ、その良質な印象を与える境界線の領域を死守したいわけなのです。

しかし、ローストの難しさは、季節の移り変わりで勝手にその境界線がズレていく。
要は、熱量の与え方の基準である「生豆の持つ熱量が変化してしまう」ために、同じ設定のローストでは生豆に与えられる総熱量が変化してしまうために、味わいが変わってしまうのだと分析しています。

なので、季節の移り変わりで、熱量の与え方を意図的に変えてあげなくてはならなくなる。
それが、コーヒー焙煎という仕事なのです。

そのローストによる味わいのバラツキを補う仕事がバリスタという仕事。
しかし、焙煎でその味わいのバラツキを極力少なくできるのであれば、バリスタの「抽出で整えるという仕事」は必要なくなるのだとボクは考えていて、当店のコーヒー豆を使う場合に限っては、ご家庭での抽出は浸漬式のシンプルなもので良くなるのだと考えています。
ローストの時点で整えているので、抽出で整えなくても良いという考え方です。
すると、ご家庭で当店のお店で召し上がるのと同じレベルのコーヒーがご家庭で召し上がれるようになる。
それが、当店の目指すクオリティなのです。

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