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香茶屋オリジナル抽出法(浸漬式)の解説。(画像あり)

公開日:2021年3月18日更新日:2024月03月07日
カテゴリ:抽出のはなし。

香茶屋オリジナル抽出法(浸漬式)の解説。(画像あり)

香茶屋のコーヒー豆をご自宅でより美味しく簡単に召し上がるためのオリジナル抽出法の解説です。

ひとめ目でみる香茶屋式抽出法

まず知っておいていただきたいことは、コーヒーの一般的な味づくりでは、抽出で味のバランスを整える「バリスタ」という職業の人たちが存在しております。
ですが、香茶屋の味づくりは焙煎士であるボクが焙煎(ロースト)によってバランスを整えているお店ですので、抽出で味を整える作業をしなくてもよくなります。
意外とこのコーヒーの味づくりの論理を知らない人たちが多いので、当たり前のように抽出で味を整えようとしてしまいますが、ローストで味のバランスが整っている豆ならば、抽出はとてもシンプルな方が素材の良さを引き出せるものです。

すると、ご家庭でも道具さえ揃えれば(粉で購入すればサーバーとフィルターとお水だけ)、お店と同じレベルの味わいを楽しむことができるようになります。
それは抽出技術を必要としない抽出法だからです。

ですが、ローストでバランスを整えることが非常に難しいため、ほとんどのお店では抽出でバランスをコントロールできる抽出法を採用しているのはそのためです。
今回は、香茶屋のコーヒー豆を使用する場合に限りオススメしている香茶屋オリジナル抽出法(浸漬式)の解説となります。

浸漬式(しんし)の抽出は、酸味のコントロールが難しい抽出法だと言われています。
ですが、香茶屋は「ロースター(焙煎士)」の味づくりを得意とするお店ですので、ローストの段階で酸味を含めた味づくりのバランスをコントロールし整えているため、抽出でバランスをコントロールする必要がありません。

バリスタ出身のコーヒーショップの場合ですと、ローストが得意ではなく、その代わりに抽出技術がありますので、抽出で味を整える傾向があり「浸け置き式(浸漬式)」よりも抽出で味づくりをコントロールできる抽出法を推奨するショップが多いのはそのためです。
ですが、その抽出法は技術力を必要とするため、ご自宅ではなかなかその再現性は低く、同じコーヒー豆を使っているのにご自宅で満足のゆく味にはならないのは抽出技術を必要とする抽出のためです。

しかし、香茶屋のコーヒー豆を使用する場合では、シンプルな抽出法である浸漬法の抽出を採用することで、道具さえ同じものを使えば、簡単にご自宅でお店の味を再現することが出来るのです。
それは、焙煎の技術力でローストでバランスを整えていることと、ローストのダメージを与えないようにローストしているからこそ、熱湯(100°C)での抽出と浸漬式のシンプルな抽出法を合わせた独自の抽出法が可能になるのです。

では、そのシンプルな抽出法である「浸漬式(浸け置き式)」の香茶屋のレシピを含めた解説をしていきます。
まず、用意していただくもの。

*香茶屋のコーヒー豆(もしくは粉で購入すること)。
*コーヒーミル。(豆で購入された場合は、NEXT-G2 もしくは ナイスカットG)
(NEXT-G2のミルの場合は、酸味のフルーツ感や味わいの透明感が際立つ味わいが特徴で、ナイスカットGのミルの特徴は透明感や酸味のフルーツ感は目減りしますがその代わりに、甘さとボリュームが登場するようになります。ミルによって味の特徴が変わりますので、実際に飲み比べをして好みを判断してから購入することをオススメしています。)
香茶屋・オリジナル 不織布フィルター。(浸け置き式専用・不織布フィルター)
*カリタ・10gメジャーカップ。
*KINTOコーヒーサーバー(※球状をしていることと、口が広く洗いやすいため。)
南アルプスの天然水(または、浄水器を通した浄水。:純粋、アルカリ水は使わないでください。)

1・コーヒー豆をカリタ・10gメジャーカップで、すり切り1杯を中細挽きで粉砕します。

注意点としまして、スケールを使って10gで計量しないでください。
理由の解説はこちら→  <参照ブログ>コーヒー豆はメジャーカップで計量する。

2・粉砕したコーヒーの粉を「KINTO」のコーヒーサーバーに入れます。

すると、10gのメジャーカップすり切り1杯なのに、「13.1g」を表示しています。
(使用しているコーヒー豆は、香茶屋のケニア・キアンヤンギ・ライトローストです。)

※焙煎度合いによって、焙煎されたコーヒー豆の重さが変わってしまうため、メジャーカップなどの容積で計量をすると、一度決めたミルの設定は変更しないままで、味わいのバラツキはなくなるようになります。
ミルの設定方法は、上記のレシピの分量で抽出をした場合に、登場する味わいのバランスが良い引き具合を決めます。

>ミルの設定方法。

3・スケールの表示を「0セット」します。

4・沸騰しましたお湯を、「205 g」注ぎます。
(※画像の219gは過去の設定で、現在は205〜210gの範囲で設定しています。)
使用しているお水は、サントリーさんが販売しているナチュラル・ミネラルウォーターの「南アルプスの天然水」を使用。
(水道水を浄水フィルターを通さずに使用しないでください。アルカリ整水器を使用の場合は「浄水」で使用し、アルカリ水は使用しないでください。)

お湯の温度は、熱湯の100°Cにしてください。
当店のローストの場合は、ローストのダメージが登場しないように、クリーンなローストを施しておりますので、100°Cの熱湯を使用してください。
(お湯の温度を下げると、成分が抑制されてしまうため、良質さが半減してしまいます。)

お店の場合は、205mlにして、出来上がりで 160~170mlくらいです。
深煎りの場合は、お湯の温度を少しだけ温度を下げた方が良いかもしれません。
(ロースト由来のいろんな成分まで抽出してしまう傾向にあります。)

5・4分間タイマーをセットして待ちます。(香茶屋のお店の場合は、4分10秒 セットしています。)
注いだあとは何もしないでください。

この時に、不織布フィルターをドリッパーにセットしておきます。
ドリッパーはどんな形状のものでも大丈夫です。
(※不織布フィルターでコーヒーの液体を濾過するだけの目的で使用しますので、ドリッパーの形状はどのような形でも構いません。大切なのは濾過している時にフィルターが潰れてしまわないように、しっかりと固定できていることが重要です。)
不織布フィルターは柔らかく、液体を注いでいる時に潰れてしまうので、画像のように、クリップや洗濯バサミで2箇所固定しておくことで、失敗が防げます。

6・ライトローストで4分の間、何もしないで待つと、下の画像のように、ほぼほぼ上に浮かんだ「粉」が無くなってきます。

*ローストが深い場合は別です。

7・時間が経ちアラームが鳴ったら、画像のようにスプーンを5ミリ程度だけコーヒーの液体に入れて、ゆっくり、ゆっくりと3~4周だけ回します。
(けっして深く差し込まない。速く回さないでください。浅く差し込んで、ゆっくりと、ゆっくりとです。)
すると、上に浮かんでいた粉が、ほぼ沈んで無くなります。
(※深煎りの場合は異なります。)

*注意点としまして、この時に下に沈んでいるコーヒーの微粉を舞い上げないように注意してください。
くれぐれも、下に沈んでいるコーヒーの粉までかき混ぜないようにしてください。
今の時点で、一番美味しいのは、「上澄みの液体の部分」なのです。

8・ライトローストですと下の画像のように、ほぼほぼ浮かんでいた「粉」が沈んで残りませんが、ローストが深くなるに従って、上に「粉」が残っているので、画像のようにスプーンで「粉」を適度に取り除いてください。
(別に取り除かなくでも問題ありませんが、フィルターが汚れていきますので、洗って再度使用できる回数が減ってしまいます。)

9・そしたら、下に沈んだコーヒーの微粉を舞い上げないように、ゆっくりと「上澄みのコーヒーの液体」を、香茶屋オリジナル不織布フィルターでゆっくりと注いで濾してください。

10・ゆっくりと、ゆっくりと、注いで濾してください。

11・注意点としまして、下の画像のように、微粉は極力注がないようにして、微粉が流れ出そうになるくらいで、注ぐのをやめて、少し液体を残すくらいにしてください。

12・すると、こんなにもキレイなコーヒーの液体の色になります。
(*現在の浸け置き式専用の不織布フィルターの場合ですと、もう少し微粉が通るくらいのメッシュサイズにしてありますので、抽出直後は微粉が舞って少し茶色く濁りますが、何分かしますと微粉が沈み、透明感のある明るいコーヒーの液体になります。)

13・コーヒーの液体の色は、「質」とリンクしています。
キレイな色は、フレーバーもキレイな明るいフレーバーになっています。

これで、「香茶屋のオリジナル抽出法」の解説は終わりですが、この抽出法で大切なポイントは、香茶屋のコーヒー豆(粉で購入することを推奨しています)を使うことと、香茶屋オリジナル・不織布フィルター。を使うことです。

なぜ、当店がドリップ式から、今回推奨している「浸漬式抽出法」を選んだのか?
その理由が、実は随所にあります。
まず、お湯の温度です。
ドリップ式は100°Cの熱湯での抽出は理論上は無理な抽出法です。
出来るだけ成分を豊に登場させたいので、熱湯の100°Cで抽出をしたいことが理由の1つ。
そして、時間のコントロールです。
浸け置き式は、浸け置きする時間を自由に変更ができます。
ですが、ドリップ式は時間のコントロールがとても難しい。
お客さまはご自宅で、自身で抽出をしなければなりませんので、できるだけ抽出のハードルを下げたいという思いも理由の一つなのです。
*参考記事。>抽出を考える。

浸け置き式の抽出法は、すべての成分が抽出されてしまう抽出法ですので、良質なコーヒー豆を使用し、適正な焙煎が施されたコーヒー豆でないと、コーヒー豆の素材の雑味と焙煎の雑味までもがすべて登場してしまいます。

そして、香茶屋の適正な焙煎を施したコーヒー豆ですと、その次の課題としまして「お水選び」と「コーヒーミル選び」が重要になります。
その基準は、素材の成分をキチンと登場させるモノが基準です。その基準が「明るさ」と「透明感」です。

素材の成分をキチンと登場させるモノの反対が「ボヤけさせる」ものです。
「ボヤけさせるモノ」は、ダメージがあるモノを誤魔化す特性があるので、クオリティの低い一般流通しているモノを使用する場合に使うといいです。

ですが、良質なモノの場合は、良質なモノまでボヤけさせてしまいますので、良質なモノを使う場合には、キチンと成分を登場させるモノを選んでください。

最後に、コーヒーの液体を濾す「フィルター」がとても重要な役割をしています。
ペーパーフィルターや布のフィルターでは、良質な油脂分を吸い取ってしまいますので、油脂分まで抽出できるフィルターを使うことで、「うっとり」とする美味しさになります。
ですが、目が粗すぎる(メッシュサイズ)と浸け置き式・抽出法では、微粉の量がとても多くなり過ぎてしまい、カップの中で微粉がしばらく浮遊してしまいます。
それを解決するのが、香茶屋オリジナル・不織布フィルター。なのです。
(*コーヒープレス[フレンチプレス]でも同じじゃないか?と思われる方がおられますが、マウスフィールは全然ベツモノとなります。それがわかっていて、コーヒープレスを使わなくなった人は是非このフィルターで濾過してみてください。)

浸け置き式抽出法自体は、とてもシンプルで簡単な抽出法ですが、その美味しさは使用する豆によります。
そして、道具選び、お水選びが重要な抽出法となります。

>道具選び、お水選びは、好みの味をコントロールするためのロジックにつながっている。

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